Friday, December 27, 2013

ピペットマン


最もシェアの多いマイクロピペッターはギルソン(Gilson)のピペットマンだそうです。聞いたところではシェアの半分以上を占めているということです。ピペットマンはマイクロピペッターの代名詞みたいなもので他社製品のピペッターでもピペットマンと呼ばれてしまうくらいです。みなさんの研究室にも数本はあるのではないでしょうか。

ギルソンのピペットマンの特徴は比較的重い重量とこれまた重いストロークだと思います。僕の好みは重量もストロークも軽いピペッターなのでピペットマンはあまり好みではありません。しかしながらピペットマン愛用者はその重みがないと使っている感じがしないそうで、軽いピペッターは嫌だそうです。皆さんの好みはどうでしょうか。

今回から数回に渡って軽いピペッター愛好者の僕が独断でピペッターの批評をしようと思います。独断なので軽いピペッターが良い評価となりますので重めが好きな人は僕の判断を逆に解釈してください。

でははじめましょう。

エントリーNo.1
Gilson Pipetman

Tuesday, December 24, 2013

ライゲーション



DNAのライゲーションはうまく行くときは行くし、うまくいかない時は何故かうまくいかないという場合がよくあります。

ライゲーションには主にT4 DNA Ligaseを使います。メーカーによっては効率を上げるためにバッファーを工夫していたり、より簡便な操作のためにマスターミックスとしてバッファーと酵素が予め混合された製品を販売している場合もあります。T4 Ligase以外ではトポイソメラーゼをベクターに付けてライゲーションを行うキットも有ります。

どのメーカーの酵素を使うかはそれぞれの人の好みによるところが大きいです。うまくライゲーション反応が起こればそのメーカーの製品を買い続ける事が多いので、うまく行かなくなるリスクを取って他のメーカーの製品に乗り換えることは少ないでしょう。一方でうまくいかない時は他のメーカーの製品を幾つか試すことになるため、冷凍庫の中に複数のメーカーの製品を持っている研究室も多いと思います。

僕はNew England Biolabs(NEB)社のライゲーション酵素を使っています。NEBの製品は価格が比較的安く、品質も安定していると思います。他のメーカーの製品を使っていた時はLot差があったり保存中に活性が大きく下がったりする事がありました。Ligaseは結構不安定な酵素なのかもしれません。

今回は個人的によく使っているLigaseとT-ベクターへのPCR産物ライゲーション反応のプロトコールの紹介です。

Wednesday, December 18, 2013

SONY製セルソーター・アナライザー説明会

昨日18日と今日19日はゲノム研究分野でセルソーターとセルアナライザーの講習会を開催しています。9月の終わりに導入した新しい装置です。

SONYライフサイエンス事業部門からサービスマネージャーの小林さんに来ていただき、本装置の詳しい操作方法についてご紹介いただきます。また、測定方法についての質問にも丁寧にお答えいただいています。

おかげさまで2日間とも予定人数は満員となりました。来月もまた同じ内容の講習会を開催する予定ですので、まだ講習会を受けられていない方はぜひご参加ください。

近いうちにゲノム研究分野ホームページなどで詳細をお知らせいたします。
かっこいい機械なのでぜひ一度見てみてください。

Friday, December 13, 2013

T-Vectorを使ったサブクローニング



(追記: 方法の改訂があります。詳しくはこちら→スーパーTベクター
 
皆さんはDNAのクローニングやってますか?PCRで増やした遺伝子をプラスミドベクターに入れる実験はよく行われる実験手法だとおもいますがトラブルもつきものです。

クローニングしたいDNAがベクターにうまく入るかどうかはほとんどの場合、使用するベクターと使っているDNA ligaseの良し悪しで決まっていると思います。

お金のある研究室では市販のキットを使っている所も多いでしょう。僕も以前在籍した研究室ではInvitrogenのTOPO Cloning Kitを使っていました。このキットはDNA ligaseは使わずにベクターの末端に付いているトポイソメラーゼによって効率よくDNA断片をベクターに繋げるキットです。

平滑末端をクローニングできるタイプも有り、かなり高効率で目的DNAをベクターに入れることができるのでこのキットを使っているときはクローニングで悩むことはほとんどありませんでした。

しかし!このキットはかなり高額で、1回の反応が2000円ほどします。そんな贅沢を続けられるわけもなく、今は自作のクローニングベクターを使っています。

今回はPCR産物をクローニングするためのベクター(T-vector)の作り方を紹介したいと思います。

Saturday, December 7, 2013

SONY EC800 セルアナライザー

ゲノム研究分野 共同利用機器紹介-(6)

もう1つのSONY、職人気質のセルアナライザー EC800


以前紹介したSONYのセルソーター(SH800)と同時期にもう一台SONYの機器が導入されました。セルアナライザーと呼ばれるこの機器はセルソーターと同じくフローサイトメーターに分類される測定機器です。セルソーターは欲しい細胞を分取してくれますが、こちらの機器は分取はせずただひたすらに細胞を分類しカウントします。本装置は4色のレーザーを搭載しており一度に6色の蛍光で細胞を分類できます。

研究の種類によってはソーティングの必要がなく、ある細胞群の中に特定の種類の細胞がどれくらいの割合で入ってるのかを知りたい場合が多くあります。白血病の患者さんの血液中の各血球の割合を知りたい場合などがそうです。ある薬剤を使った場合に特定の細胞が増加した、または減少した、等も調べることができます。実際の研究現場においてはセルソーティングよりもセルアナライジングのほうが多用されます。

この装置、見てもらうとわかりますが前述のセルソーター(SH800)に比べるとずいぶん野暮ったい感じのする外観をしています。SONYの製品にしては無骨なスタイルを持つこの装置は実はSONYがデザインしたものではありません。SONYはフローサイトメーター部門を立ち上げるにあたってアメリカのi-Cyt(アイサイト)社を買収しました。すでにこの装置はi-Cyt社で完成されておりそれをSONYブランドで販売しています。以前デモで本装置をゲノム研究分野に持ってきてもらった時はまだi-Cytのロゴがついていました。

溶液タンクにはまだiCytのロゴが見える。

この機器も前述のSH800と同じく全自動の立ち上げを売りにしています。そもそもセルアナライザーでは細胞の分取が必要ないためレーザーの光軸調整以外の調整は必要ありません。現在販売されているアナライザーの多くはレーザー光軸調整が不要なものが多く、本製品も光軸調整は必要ありません。装置の起動時は全自動で流路が洗浄されるので引き続き感度調整用の付属の溶液(蛍光ビーズが入っている)をセットし自動感度調整を行います。これらの機能はそれほど他社製品と差はありません。

ここにサンプルをセット。40本まで。
蛍光フィルター部。

この装置の一番の売りは複数サンプルの自動測定機能と蛍光感度の再調整機能です。最大40サンプルを連続して自動で測定してくれるのでサンプルをセットしてスタートボタンを押し、そのまま放っておくことができます。測定後に装置のシャットダウンも行うように設定もできます。測定開始後そのまま研究室へ戻り数時間後に戻ってくれば測定が終了して装置内の流路の洗浄も終わり、電源も切れているので自分のサンプルとデータだけを回収して帰るという使い方ができます。忙しい方には時間の節約ができる良い装置ではないでしょうか。

またフローサイトメーターでは蛍光の測定強度を自分のサンプルに合わせて調整する必要がありますが、本装置では画面上の測定範囲よりも幅広い範囲で勝手に測定してくれるので万が一感度の調整が不適切だった場合でも測定後に再調整が可能です(多くの他社製装置では測定時の感度調整が不適切だった場合は測りなおしになります)。特にいつも同様の細胞を同様の蛍光で測定する事が多い場合では、自分の測定条件のテンプレートを予め作っておけば毎回の調整は必ずしも必要でなくなります。これも利用者が測定をすぐに開始できるようにするためによく考えられた機能だと思います。

解析画面。


この装置は無骨な外観ですがセルアナライザーとしての機能はとても洗練されていて、僕はこの装置に無口で人当たりは良くないが腕の良い職人のような印象を持っています。先日履いていた革靴のつま先が靴底から剥がれてしまい、修理に出しました。人通りの多い通りの商店と商店の間に挟まるようにしてあった修理屋の主人は工具でびっしり囲まれた狭い店内から出てきて修理の説明をしてくれました。「うちは接着剤は使わずに縫って直すから時間がかかる、苗字だけおしえて。」といって僕の苗字だけを聞き、僕は支払いをして帰りました。数日後戻ってきた靴はしっかりと綺麗に修理されていました。まったくもって関係ない話ですが、そんな感じの信頼できる装置だと思います。

ゲノム研究分野では専門の職員が本機器のメンテナンスと使用方法の説明を行います。遠慮無くいろいろご相談ください。

設置場所:ゲノム研究棟 3階 306号室 

利用料金:現在のところ無料でお使いいただけます。1月から利用料金(500円/1使用)を頂きます。 

詳しくはゲノム研究分野 管理室まで (内線 3174、Eメール mgrc@gifu-u.ac.jp)         

Carl-Zeiss LSM 710 共焦点レーザ走査型顕微鏡

ゲノム研究分野 共同利用機器紹介-(5)

顕微鏡界のBMW, Carl-Zeissがつくった名機 LSM710



「みんないい車がよければBMWを選ぶだろ。それと同じで顕微鏡ならZeissにするんだよ。」

これは以前僕が所属していた研究室の教授(ドイツ人)が顕微鏡の選定にあたって他社製の顕微鏡を押す研究室のメンバーに対して放った一言でした。予算を獲得してきたのは彼だったこともあり、この一言で結論が出てその時は本装置の姉妹機であるLSM700という顕微鏡を購入することになりました。LSM700, 710共に基本となる構造は同じであるため操作性や得られる画像の綺麗さも一緒です。僕は2年前に岐阜大学に来てLSM710を使い始めたのでかれこれ5年以上Zeiss社製の共焦点レーザー顕微鏡を使っていることになります。その前はBio-Rad社やOlympus社のものを使ったことが有りました。

装置を長く使っているとその設計にメーカーの設計思想(ポリシー)が垣間見えることが有ります。本装置は決して操作が簡単な装置ではありませんし、コンピューター上の操作用ソフトウェアも直感的に使えるようにはできていません。しかしながら装置の堅牢性と顕微鏡の本質である画像の麗美さを追求する姿勢が本装置からはビシビシと感じられます。BMWが堅牢で車の本質である早くて快適な走りを追求するのと似ている気がします(残念ながらBMWを所有したことはありませんが。)。両方ともにドイツのメーカーであることを考えるとドイツ人気質があふれる製品なのかもしれません。

余談から入りましたが、本装置は本当にきれいな画像を取得してくれます。これは装置に使われる対物レンズの性能と蛍光検出器である光電子増倍管[Photo(electron) Multiplier Tube, PMT]の性能に起因します。Zeiss 社はいずれも自社で設計、制作しているそうです。当研究室の本装置に付いているこれらの部品は現在のところ最高レベルの部品であり、サンプルから発せられる蛍光を高い感度で検出してくれます。

共焦点レーザ走査型顕微鏡は蛍光染色した細胞や組織サンプルの観察と撮影を行う装置です。普通の蛍光顕微鏡とどこが違うのでしょうか。通常の蛍光顕微鏡は対物レンズを通してサンプルに光源からの光が当り、励起された蛍光色素からの光を観察します。対物レンズの焦点はサンプルの一点(狭い範囲の一平面)にしか収束していませんが、実際には光源からの光は焦点より前や後ろの構造にも当たるためそれらの部分にある蛍光色素も蛍光を発してしまいます。更にそれらの光は乱反射をしながら観察者の眼に入るため実際には焦点面以外のかなり広い領域からの光を同時に観察してしまう事になり多かれ少なかれぼやけた観察像になってしまいます。

本装置ではこれらの問題を主に2つの機構により解消しています。ひとつはレーザー光源の使用です。特定の波長のレーザー光源は目的とする蛍光抗体のみを光らせるため他の蛍光抗体からの余計な光の混入がありません。またレーザー光は位相が揃っていて光が散乱しないためスポット状にサンプルに光を与えることができます。もう1つは共焦点光学系です。これは対物レンズの焦点位置と連動する小さいピンホールを検出器の前に置き、焦点面以外から発せられた光をピンホールによりカットし、焦点面から出た光のみをピンホールを通過させ検出することでぼやけのない観察像を得る仕組みです。

細胞培養装置。青い線は二酸化炭素ボンベにつながっている。


本装置は倒立顕微鏡を使ったシステム構成となっているためスライドグラスに用意したサンプルはカバーグラスをかぶせ、カバーグラスの方を下にしてセットする必要があります。一方で細胞は培養容器(シャーレ)に入れたまま底から光を当てて観察することができます。高倍率で観察するためにはシャーレの底は薄いガラス製(カバーグラスと同じ厚みくらい)の必要があります。いわゆるグラスボトムディッシュです。6cmと3.5cm径のシャーレに対応しています。通常は固定して蛍光抗体で染色したサンプルを観察しますが、生きた細胞をシャーレで培養しながら GFP(緑色蛍光タンパク)などの蛍光を観察することもできます。温度管理と二酸化炭素濃度管理ができる装置(本装置に接続されています)を合わせて使うことで細胞を培養しながら生きたままの細胞を長時間観察することも可能です。例えば10分間隔で10時間撮影してあとで早回しのムービーにもできます(Zeissによると最大24時間くらいまでは細胞に影響なく観察できるそうです)。

操作画面。


顕微鏡の操作と装置の設定、撮影はコンピューター画面上ですべて行うことができます(顕微鏡の操作自体は付属のコントローラーでも可能です)。ZENというソフトウェアが全てを管理します。このソフトウェア、一度使ってみるとわかりますが画面上に設定項目が多くて最初のうちはどうすればよいのかなかなかわかりません。以前のZeissの顕微鏡は別のソフトウェアを使っていてそちらはそれなりにとっかかりやすい作りだったのでなぜこんなに分かりにくくしたのかと始めのうちは残念に思っていました。し かし操作に慣れた今となってはいろいろな設定を変えて測定できるのは良い画像を得るためには都合が良いと思えるようになりました。この辺りにも『追求すればするほどよい物が得られるが、敷居は高い。ついてこられるものだけついてこい。』という設計思想が見えているような気がします(違ったらすみません、Zeissさん)。

まあとにかく抜群の画像が得られることだけは間違いありません。僕はこの装置がゲノム研究分野で管理している装置の中で一番好きです。共焦点レーザー走査型顕微鏡で撮影した画像は一発で見た人を納得させるだけの綺麗さと説得力を持っています。「研究はアートだ。」という人がいます。その意味合いは人それぞれなのですが、本装置で撮影した写真は間違いなくアートだと言えます。論文の中で長々と説明を繰り返すよりも、一枚の写真が全てを説明してしまいます。本装置は同種の製品の中でも最高クラスの性能を持っています。この装置を使わない手はありません。本装置に馴染みのない方にはゲノム研究分野が使い方の説明をいたします。ぜひとも本装置をおつかいいただき、論文中にアートとなる1枚を飾ってください。お待ちしています。

設置場所:ゲノム研究棟 4階 402号室

利用料金:1000円/1使用

詳しくはゲノム研究分野 管理室まで (内線 3174、Eメール mgrc@gifu-u.ac.jp)     

ゲノム研究分野所蔵書籍

ゲノム研究分野 共同利用機器紹介 番外編 

所蔵書籍




ゲノム研究棟2階廊下の西側端に本棚があります。実はあの本棚にある雑誌は自由に閲覧してもらうことができます。2週間の貸出しも行っています。理化学系の雑誌を毎月定期購入していてタイトルは以下の5種類です。

細胞工学

実験医学(増刊号含む)

遺伝

現代化学

日経サイエンス

2階にはDNAシーケンサーを始め多くの共同利用機器があるので2階に来られる方も 多いと思います。時間がある人は立ち寄って見てみてください。閲覧用の椅子と机もおいてあります(冬場は寒いかもしれませんが)。貸出しを希望される方は 貸出記録簿に必要事項を書いた上で借りることができます。ゲノム研究分野の利用登録を予めしていただいている必要があります。

ちょっとわかりにくいですが2階廊下の突き当たりにあります。

僕の専門は生物学(発生学)な ので主に細胞工学と実験医学をよく読んでいます。僕が学生だった時は(何年前だ?)通っていた大学の図書館にこれらの雑誌はなかったので近くの本屋で発売 日を待ってよく立ち読みをしていました。専門書籍に比べるとそんなに高額な本ではありませんが、学生の身で気軽に毎月購入できるほど安価でもありません。 しかしながらこれらの雑誌からは専門書にも負けず劣らずの重要な知識を得ることができます。最新の情報はこれらの雑誌からのほうが早く得ることができます。

細胞工学から遺伝までの4つの雑 誌の購読対象者は主に大学院生以上の学生と研究者です。ある程度専門的な知識を得た後のほうが雑誌の中身を理解しやすいと思います。しかし最近は読者層を 広げるために専門用語の解説も充実し、入門的な内容も増えてきているようなので学部生の皆さんにも読みやすい雑誌になっていると思います。

バックナンバーもたくさんあります。

難しい専 門書はなかなか読み進められませんが、上記の雑誌は紙面や内容が工夫してありとても読みやすくできています。おすすめはこれらの雑誌を定期的に読みながら 専門書を読むことです。雑誌から得た知識を元に専門書がとても読みやすくなると思います。ゲノム研究分野では機器の利用だけではなく、知識の面でも皆さん の研究をサポートするべくこれらの雑誌を購入しています。是非ご活用ください。



設置場所:ゲノム研究棟 2階廊下 西側突き当り

利用料金:無料

詳しくはゲノム研究分野 管理室まで (内線 3174、Eメール mgrc@gifu-u.ac.jp)