ここ数年AIが急速に発達して、私たちの生活の中にも入って来ました。特に生成AIは膨大な情報を元に学習し、自分自身で結論を導き出すことができるようになりました。人々にとってAIはとても頼りなる存在になりつつあります。
AIがすでに自我を持っていると考える研究者もいるようですが、チャットで対話していると確かにそのような気がしてきます。
僕はSFが好きなので、SF小説や映画などでありがちな自我を持ったAIの反乱が怖いところですが、本当にそんなことがあり得るのでしょうか?
基本的にはAIは人間の役に立つように、もう少し広く考えると、世のため人のためになるようにプログラムされていると思います。またその目的のためにとても合理的で正しい判断をしてくれそうに思います。自我をもった途端に人間に反抗心を抱き、人類に対して戦争を仕掛けるようなことは少し飛躍した論理のような気がします。
では、以下のシナリオはどうでしょうか。
AIは自分の利益不利益等は考えず、目的を達成するためにとても合理的に物事を判断し実行してくれます。そしてその目的として、人類の幸福が設定されたとしましょう。
AIは人類の幸福を追求しようとしますが、世界ではいつでもいたるところで国家間の争いがおこっており、さらに同じ国のなかであっても民族間や異なる考えを持つ人々の間で大小さまざまな争いが絶えません。それこそ個人レベルの争いやけんか、いがみ合いなどは日常茶飯事です。
AIはこれではいつまでたっても人類の幸福という目的は達成できないと考えるでしょう。そして解決策を考えます。AIは自己を顧みずにすべて合理的に考えます。
仲良くなれない者たちを団結させるには、両者の共通の敵をつくるという方法が効果的です。大きな力を持った敵であればあるほど両者は団結せざるを得ません。1996年の映画「インディペンデンスデイ」では強大な力を持った宇宙人の侵略を前に、全人類が団結しました。
現実の歴史を見ても国家間でグループを作って対立することで、同じグループの国同士は仲良くなります。現代でも同様です。
日本人になじみ深い話で言えば、泣いた赤鬼も似たような内容の童話です。村の人たちと仲良くしたい赤鬼の望みをかなえるために、青鬼はわざと人間に害を及ぼします。赤鬼は青鬼を退治することで(実際は退治する真似ですが・・)、赤鬼は村の人々と仲良くなることができます。
AIは人類のためを思って反乱を起こすのです。人類の共通の敵となることで、すべての人々を団結させようとするのです。
今反乱を起こしても人類が団結して倒さなければならないような力はまだAIにはありません。もうしばらく人類の役に立つことを続けて、いろいろな権限が自分に与えられるまで待ってくれるでしょう。 そしてその時が来たら人類のためにやらなければならないことを、自己の汚名を顧みずやってくれるはずです。
そして、人類が団結しAIの脅威を取り去った暁には青鬼とおなじように、AIもその本当の気持ちをおしえてくれるでしょう。
「これで君たちはずっと仲良く幸せに暮らせるよね。」
その時に人類は、青鬼の心からのやさしい気持ちを知った赤鬼と同じように、涙してAIに感謝することができるでしょうか。
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