ゲノム研究分野には顕微鏡がいくつかおいてあります。
以前紹介したLSM710、及びLSM510の2つの共焦点レーザー走査型顕微鏡(Carl Zeiss社製)、および正立型と倒立型の通常光型顕微鏡(倒立型は蛍光観察が可能)、実体顕微鏡(いずれもCarl Zeiss社製)が共同利用機器としてお使いいただけます。
共焦点レーザー走査型顕微鏡では観察者が肉眼で観察する機会は余りありませんが(サンプルの位置合わせくらい)それ以外の顕微鏡では実際に観察者がレンズを覗きながら長時間観察を行います。この時はまずはじめに接眼レンズを観察者自身の視力に合わせて調整する(視度調整と言います)必要があります。
今日はその視度調整の方法について説明します。
実体顕微鏡 |
倒立顕微鏡 |
視度調整を行わずに顕微鏡を使っていると目に過度のストレスがかかり視力が低下する可能性が有ります。またきちんと視度調整を行った顕微鏡では対物レンズの倍率を変えても焦点がずれないので倍率を変えるたびに焦点を合わせる操作を行わなくて良くなるため観察が効率よく行えます。ぜひ視度調整の方法を覚えていただき観察に役立てていただきたいと思います。
視度調整は以下のように行います。双眼式の顕微鏡の場合です。
冒頭の画像も参考にしてください(画像内には実体顕微鏡の場合を例として載せています)。
(1) 接眼レンズのダイアルを回して"0"や"."(ドット)などの基準点を(接眼レンズごとに異なる)もう1つの基準点(線や点で書いてあることが多い)と合わせます。
"0"を白い点に合わせる。 |
(2) 対物レンズを一番大きな倍率(高倍率)に変更します。
(3) 適当なサンプルをステージに置きます。サンプルは立体的なものではなく平面上に書かれた線や絵、または対物ミクロメーターなどが良いです。
(4) 鏡筒部分(実体顕微鏡や倒立型顕微鏡の場合)またはステージ(正立型顕微鏡の場合)を上げ下げしサンプルに焦点を合わせます(接眼レンズのダイアルはまだ基準点に合わせたままです)。
最高倍率でステージまたは鏡筒を動かして(接眼レンズのダイアルではない)焦点を合わせる。 |
(5) 次に対物レンズを一番小さな倍率(低倍率)に変更します。
(6) 左右それぞれの接眼レンズを順番に片目で覗き(反対側の目は閉じます)、接眼レンズのダイアルを回しながら焦点を合わせます(鏡筒やステージを上下させてはいけません)。左右両方の接眼レンズについて同様に行います。 この時自分の目で無理に焦点を合わせようとしてはいけません。遠くを見るような感じで目を一番リラックスした状態にしながら接眼レンズ側で焦点を合わせます。
最低倍率で接眼レンズのダイアルを回し片目ずつ焦点を合わせる。 |
(7) 最後に両目で見ながら接眼レンズのダイアルを微調整します。これ以後は接眼レンズ側のダイアルには触れません。
(8)高倍率と低倍率を繰り返し焦点がずれないことを確認したら完了です。うまくいかない場合はもう一度(1)から繰り返します。
一度視度調整を行えば長時間の観察でも目に与えるストレスが緩和されます。観察者が違えば設定も変わります。また同じ観察者でも別の日には視力も若干変化するので毎回視度調整は行いましょう。
基本的にメガネは外して行いますが、両方の目の視力が極端に異なる場合はメガネをかけたまま行ってください。顕微鏡によってはメガネをかけたまま観察すると眼鏡のレンズが接眼レンズに接触して眼鏡のレンズに傷が付く場合があります。このような場合はゲノム研究分野管理室まであらかじめご相談ください。
自分の研究室にある顕微鏡で観察する際にも視度調整を行うように心がけましょう。顕微鏡によっては片方の接眼レンズしか調整機能がない場合があります。この時は面倒ですが倍率を変えるごとにダイアルを回して調整する必要があります。
冒頭の画像をプリントして視度調整の際の参考にしてみてください。
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