Monday, July 13, 2020

Tombobites

先日自宅で育てている植物の世話をしているとトンボ(多分シオカラトンボのメス)が飛んできました。すぐ真横にとまったのでそっと両手で覆うとうまく捕まえることができました。

シオカラトンボのメス。画像はwikipediaから(https://en.wikipedia.org/wiki/Orthetrum_albistylum

よく見ようとしたところ、急に「ガブッ」と指先(爪の根元あたりの皮膚)を噛まれました。激痛です。

軽く背中をつまんで引っ張ろうとするとより強く噛んでくるので、つまむのをやめ自由に飛び立てるようにしたのですが、さらに噛んできます。よく見ると激痛でこわばっている手の指と指の間にトンボの足がはさまって飛び立てないようでした。

指の間をあけることでやっと飛んで行ってくれました。2回噛まれたので左右の歯形(?)がそれぞれ2か所ずつついて少し血が出てきました。トンボ、おそるべし。

もう少し皮膚の厚いところをかまれればそれほど痛くはないのでしょうが、爪の根元あたりの皮膚は薄いので貫通してしまいました。

細い針を刺されたような感じ。まあまあ痛い。

トンボは肉食性で、捕まえた他の昆虫などを大あごでバリバリ食べることは知っていたのですが、まさか自分から噛んでくるとは思っていませんでした。人生で数えられないくらいトンボを捕まえたことはありますが、初めてです。

噛みつきながら顔を左右に振って大あごをより食い込ませようとしていたのが印象的でした。相手をより痛がらせて逃げようという考えでしょう。


・・・と思ったのですが、トンボはほんとに相手が痛がっていることを知っているのでしょうか?

昆虫に痛覚があるかどうかは議論があるみたいですが、少なくとも人生(虫生)で一度も痛みを感じたことがない場合には痛みというものを知らないはずです。

なんかこんなかんじの顎でグリグリくる。

トンボは幼虫(ヤゴ)の時期は田んぼの中などの水中生活です、そこで他の水生昆虫やオタマジャクシ、小型の魚(の仔魚など)を食べて大きくなります。羽化した後は空中で餌をとらえる生活に変わります。

その生活の中で痛みを感じるときはたぶん魚や鳥などの敵に襲われた時だと思いますが、おそらく襲われたら食べられてそこで終わりです。食べられてしまうので、痛みを経験した後に生き続けられることはまれなのではないでしょうか。痛みを感じた経験があるとすると、どこかを食いちぎられてかろうじて逃げ延びた時などでしょうか。

しかし先日のトンボはけがをした様子はありませんでした。

また、仮に襲われて痛みを感じたことがあったとしてもそれを覚えているかどうかは別の話です。さらに自分がかみつくことで相手が痛みを感じるだろうと考えることも別です。

そうするとやはりあのトンボがかみついたのは本能なのでしょうか。考えてみると捕まえると噛みつく生き物はたくさんいます。犬や猫なども捕まえられるのが嫌な時は噛みます。

ちなみに昆虫のあごとヒトを含めた脊椎動物のあごは進化の過程で独自に獲得された構造です(少なくとも現在はそういう風に理解されているはず)。ヒトのあごが上下に開くのに対し昆虫のあごは左右に開くことからもそれが推測できます。

危険な目にあったら顎で噛むというのは構造的な由来はどうあれ、あごをもつ動物に共通した逃避行動なのでしょう。

ちなみに個人的な経験上噛まれると一番痛い虫はクワガタのメスです。オスと違ってあごの支点と作用点が近いので、ペンチで挟まれたような痛みです。皮膚も余裕で貫通します(そしてなかなか放してくれない)。

これからの季節虫を捕まえることも多いと思いますが、みなさん気をつけてそっとさわりましょう。


以前迷い込んできたオニヤンマ。こいつに噛みつかれなくてよかった・・・。

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