(追記: 方法の改訂があります。詳しくはこちら→スーパーTベクター)
皆さんはDNAのクローニングやってますか?PCRで増やした遺伝子をプラスミドベクターに入れる実験はよく行われる実験手法だとおもいますがトラブルもつきものです。
クローニングしたいDNAがベクターにうまく入るかどうかはほとんどの場合、使用するベクターと使っているDNA ligaseの良し悪しで決まっていると思います。
お金のある研究室では市販のキットを使っている所も多いでしょう。僕も以前在籍した研究室ではInvitrogenのTOPO Cloning Kitを使っていました。このキットはDNA ligaseは使わずにベクターの末端に付いているトポイソメラーゼによって効率よくDNA断片をベクターに繋げるキットです。
平滑末端をクローニングできるタイプも有り、かなり高効率で目的DNAをベクターに入れることができるのでこのキットを使っているときはクローニングで悩むことはほとんどありませんでした。
しかし!このキットはかなり高額で、1回の反応が2000円ほどします。そんな贅沢を続けられるわけもなく、今は自作のクローニングベクターを使っています。
今回はPCR産物をクローニングするためのベクター(T-vector)の作り方を紹介したいと思います。
ご存じの方も多いと思いますがT-vectorとは末端にT(チミジン)突出を持ったベクターのことで、PCR産物が持つA(アデノシン)突出末端と結合することでPCR産物のクローニングを可能にします。
ベクターの切断
pBluescript 2ug
10x buffer 10uL
H2O up to 100uL
EcoRV 3uL
Total 100uL
37℃
5hr.~ ON.
10uLの 3M酢酸ナトリウムと300uLの100% EtOHを加えて室温で20分
15,000rpm
15min.で遠心
上澄みを捨てペレットに500uLの70%
EtOHを加える
15,000rpm
5min.
液を捨てる
乾燥させる
20uLのTEを加えペレットを溶解
切断ベクターの切り出し
0.7%ゲルに10uLずつ2つのレーンに分けて電気泳動
(新しい泳動バッファーを使う)
GelRedで15-20分染色
トランスイルミネーター上で切断されて直鎖状になったプラスミドのバンドのみを切り出す
(未切断の環状のプラスミドの混入を防ぐため)
切り出したゲルからDNAを回収する(Nucleospinカラム使用)。
dTTPの付加
以下の溶液を加える
切断ベクター 20uL
10xTaq
buffer 10uL
dTTP
(100mM) 2uL
Water 67uL
Taq
polymerase (5U/uL) 1uL
Total 100uL
70℃で2時間インキュベートする
200uLの水またはTEを加え全量を300uLとしてフェノール・クロロホルム抽出
その後1/10量の3M酢酸ナトリウムと0.7倍量のイソプロパノールを加えて
室温で20分インキュベート
15,000rpm
15min.で遠心
上澄みを捨てペレットを500ulの70%
EtOHで洗う
15,000rpm
5min.
液を捨てる
5~10分間程乾燥させる
保存
ペレットを11uLの水で溶解
濃度を測定し、100ng/uLになるように希釈
1~2uLずつPCRチューブに分注して-20℃で保存する。
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