ギルソンのピペットマンの特徴は比較的重い重量とこれまた重いストロークだと思います。僕の好みは重量もストロークも軽いピペッターなのでピペットマンはあまり好みではありません。しかしながらピペットマン愛用者はその重みがないと使っている感じがしないそうで、軽いピペッターは嫌だそうです。皆さんの好みはどうでしょうか。
今回から数回に渡って軽いピペッター愛好者の僕が独断でピペッターの批評をしようと思います。独断なので軽いピペッターが良い評価となりますので重めが好きな人は僕の判断を逆に解釈してください。
でははじめましょう。
エントリーNo.1
Gilson Pipetman
ピペットマン P-1000 |
学生のころ初めて研究室に配属されて先輩に、
「ピペットマンとって」
などと言われて、
何を言ってるんだこの人は? と思った人も多いと思います。
よく見ると側面にpipetmanと書かれた本体と同じ色の刻印を見つけて(わかりにくい)、ピペッターの名前だと気づかれたことでしょう。
僕からすればとにかく重い!本体の重量はなんとかなるとしてもストロークの重さはどうにかならないもんでしょうか。特にP1000の重さは粘土を押しているような気持ちになります。ピペッティングでチューブの内容物を混ぜようものなら親指の付け根が数ストロークで痛くなります。親指を鍛えたいあなたにはうってつけのピペッターですが、僕は遠慮したいところです。
と、思っていたら実はストロークの軽いバージョンも有ります。NEO シリーズといいます。見た目はほとんど変わらないのですが、押した感じはかなり軽くなっており操作感は全然違います。複数のピペットマンを持っていてたまにこれを使うと「あれっ、?軽い。」とちょっとびっくりします。前述の重いタイプはClassicまたはPシリーズというそうです。
ClassicとNEOはピストン下部のダイヤルを回してメモリを変えようとすると隙間にゴム手袋が挟まることが頻発。ピストンを回してもメモリを変えられるので手袋をしているときはこちらを使いましょう。ただし分注時にピストンを押すと次第にダイヤルが回って設定容量が少しずつずれてしまいます。また、チップイジェクターの反動でイジェクター自身のはまりが緩くなってチップ上部に当たりチップがきちんとはまらなくなってきます。これらは設計上の改善ポイントだと思います。
更にストロークが軽いバージョンも有り、Lシリーズといいます。これはデモ機を触っただけなのですが、いい意味でスカスカと軽いストローク感です。恐らく全ピペッター中でも最も軽いストロークの部類に入ると思います。重量もかなり軽いです。ダイヤルのロックもできるのでメモリがずれることはありません。イジェクターの抜け易さが改善されているのかどうかは試していないのでわかりませんが、設計が変わっているので改善されていると期待しています。
ピペットマンの中では僕はLシリーズが一番好みなのですが、そもそもピペットマンファンは重いストロークが好きなはずなのでギルソンの路線からは外れている気がします。軽いストロークが好きな人はそもそもギルソンを考慮に入れないのでは? ギルソンとしても頭の痛いところなのかもしれません。
あと一般的にギルソンのピペッターは本体上半分(ピストン部分)はオートクレーブ不可です。下半分(白いシャフトの部分)は取り外してオートクレーブできます。他社のピペッターは全体がオートクレーブ可能な製品が多いので注意が必要です。前いた研究室でうっかりオートクレーブしてしまいダイヤルを固着させて壊したのは僕です。皆さんも気をつけましょう。
これはギルソンが正確性を重視しているからだそうです。オートクレーブに耐えうる素材を使うこともできるとは思うのですが、オートクレーブによる僅かな歪みで吸引量に誤差が出るのを防ぐためにあえてオートクレーブ不可を貫いているようです。このへんも愛好者が好む設計思想なのかもしれません。
総評:まさに質実剛健のピペッター。研究もパワーで乗り切れと言わんばかりのガッチリとした本体と硬いストローク。まずはこのピペットマンから入っておけばあとはどんなピペッターでも使えるようになるでしょう。
付属のホルダーは間隔を調整することでホルダー間にも架けられる。 |
本体の軽さ ☆☆
ストロークの軽さ ☆
値段のやすさ ☆☆
NEO
本体の軽さ ☆☆
ストロークの軽さ ☆☆☆
値段のやすさ ☆☆
Lシリーズ
本体の軽さ ☆☆☆☆
ストロークの軽さ ☆☆☆☆
値段のやすさ ☆
次はフィンピペットです。(→ リンク)
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